ぎっくり腰どうする?
突然のぎっくり腰...
動こうにも動けない...
どうしたら早く治る?
ぎっくり腰にならないためにはどうしたらいい?
そんな疑問にお答えしていきます!
1.ぎっくり腰とは?
ぎっくり腰とは、腰に急激な負荷がかかることによって、腰の筋肉や組織に痛みや不快感が生じることです。腰の痛みや痙攣が広がり、下肢のおしりや太もも、ふくらはぎにも痺れを感じることもあります。
2.腰の構造について
ぎっくり腰について詳しくお伝えする前に、腰の骨や筋肉についてお話します。
腰の骨(腰椎)
脊椎(背骨)の中でも腰の位置にある円柱状の骨で、5つの椎骨が積み木のように重なって成り立ちます。腰椎は脊椎の中でも重い負荷に耐えるため特に強い骨であり、上半身の重みを股関節や下半身に分散させる役割を果たします。腰椎と腰椎の間には椎間板があり、脊椎にかかる負荷や衝撃を吸収することで、歩行や運動時の衝撃を和らげ、脊椎への負担を軽減します。腰椎の後ろ側には神経が通っており、急激な負荷がかかることで椎間板内の髄核が飛び出る(椎間板ヘルニア)と神経を圧迫して脚にしびれが出ることがあります。
腰部の筋肉群
腰部には多くの筋肉が存在します。重要な筋肉には、腹横筋、腹直筋、多裂筋、大殿筋、腰方形筋などがあります。腰椎は安定性が求められる部位なので、これらの筋肉が腰椎の安定性や動作のサポートを行います。腰椎が安定することで正しい姿勢が維持され、ぎっくり腰や腰痛の予防にもなります。
以上が腰部の骨、筋肉に関する説明です。
腰部は身体の重要な部位であり、正しい姿勢の維持や腰部の筋肉の強化など、適切なケアが重要です。
3.ぎっくり腰の原因
ぎっくり腰の原因として以下の要素が挙げられます。
- 急激な腰の動きや無理な姿勢
- 同じ姿勢を長時間続ける
- 加齢
- 疲労
- 姿勢の乱れ
-急激な腰の動きや無理な姿勢
突然の腰のひねりや曲げ伸ばし、激しいスポーツや身体活動中の突然の運動変化が原因となることがあります。また、間違った身体の使い方で重い荷物を持ち上げたり、無理な姿勢での重労働がぎっくり腰を引き起こします。急激な腰の動きや無理な姿勢をすることで靭帯に過度な負荷がかかり、靭帯にストレイン(緊張や損傷)が生じることがあります。
-同じ姿勢を長時間続ける
長時間同じ姿勢を続けることによって、腰部の筋肉や組織に負担がかかり、急に動くことでぎっくり腰を発症することがあります。また同じ姿勢を長時間続けると柔軟性が低下し、腰部の動きが制限され、ぎっくり腰を引き起こしやすくなります。
-加齢
加齢によって筋力が低下し腰部周辺の筋肉や腹部の筋力が不足してくると、腰にかかる負荷が増え、ぎっくり腰の発症リスクが高まります。また、骨粗鬆症、脊椎の異常、関節炎などの慢性的な病態が存在する場合、骨や関節に変化が起こることもリスクを高めます。
-疲労
長時間の身体的な労働や過度の運動、睡眠不足などによる疲労が蓄積すると、腰部に過度な負荷がかかり、ぎっくり腰を引き起こす可能性があります。また、体格や体型に合わない寝具や枕を使用して寝ることで睡眠環境が悪化し、腰部への負荷が増えることも原因の一つです。
-姿勢の乱れ
姿勢の乱れよる背骨の歪みが腰部に負担をかけ、ぎっくり腰を引き起こすことがあります。また、長期間のストレスや心理的な負担が蓄積すると、精神的なストレスにより筋肉の緊張や姿勢の乱れが生じます。
以上がぎっくり腰の主な原因です。
個人の生活状況や身体的な特徴によっても原因は異なる場合があります。
またぎっくり腰の発症時には、具体的な原因を特定するために医師や専門家の診断を受けるようにしてください。
4.ぎっくり腰の症状や身体への変化
ぎっくり腰になると、以下のような症状や変化がおこります。
- 急な腰痛
- 腰の動きの制限
- 下半身に症状が広がる
- 日常生活の制限
-急な腰痛
ぎっくり腰の発症時には突然強い腰の痛みが発生します。腰の下部や腰とお尻の境目、腰と背中の境目などが痛むことがあります。腰椎周囲の筋肉は、腰部の安定性や運動をサポートしています。ぎっくり腰では、急な運動や姿勢の変化によって筋肉に過度の負荷がかかり、炎症や痙攣が起こります。
-腰の動きの制限
腰椎周辺の筋肉や靭帯の炎症や痙攣によって腰部の痛みを感じるため、腰椎の動きが制限されます。特に前屈や起立などの動作が困難になることがあります。
-下半身に症状が広がる
痛みや痺れが腰から下半身に広がることがあり、お尻、太もも、ふくらはぎ、足の裏などに痺れを感じます。腰から下半身に広がる痛みやしびれは、腰椎の神経根や神経組織への圧迫や刺激によるものです。腰椎の障害や椎間板の変化によって、神経が圧迫されることで下肢への症状が現れます。
-日常生活の制限
痛みや腰の動きの制限により、日常生活の中での活動が困難になることがあります。痛みを軽減するために、腰を前かがみにしたり、身体を傾けたりする姿勢を取るようになります。その結果、歩行や着替え、座ったり立ったりする動作などが困難になることがあります。
ぎっくり腰の症状は個人によって異なる場合があります。症状が重篤で長引く場合や、下肢のしびれなどの症状が強い場合は、専門医の診察を受けることをおすすめします。
5.ぎっくり腰の対処法
ぎっくり腰を起こした時の対処法を発症直後から順番に紹介します。
- 安静にする
- 患部を氷で冷やす(アイシング)
- 整形外科や接骨院での診察・治療
- 鎮痛剤の服用
- 患部を温める
- 軽いストレッチや運動
1.安静にする
ぎっくり腰を起こしたら、まずは安静にして休息を取りましょう。無理な動きや重い物の持ち上げを避け、腰に負荷のかからない姿勢で横になることを推奨します。
2.患部を氷で冷やす(アイシング)
急な腰痛や炎症の軽減には、痛めた直後に氷のうや氷を腰部に15~30分間置いて冷やすことが効果的です。氷のうは直接肌に当て、痛めた部位をしっかり冷やしましょう。冷やす時間は、氷が当たっている部位が冷たくないと感じ始めてからさらに5分程度です。数日経っても痛みを感じるようでしたら、お風呂上りなどにも冷やしましょう。
3.整形外科や接骨院での診察・治療
ぎっくり腰の症状が重篤で長引く場合や、下肢に痺れやしびれがある場合は、必ず医師の診察を受けることをおすすめします。医師による適切な診断を受け、個別の対処法や治療なども検討しましょう。
4.鎮痛剤の服用
痛みが強い場合は、医師の指示に従って適切な痛み止めや抗炎症薬の使用を検討します。
5.患部を温める
症状が落ち着き、痛みがなくなってきたら温湿布や温めるパッドを使用して血行促進や筋肉の緊張緩和をするようにしましょう。痛めた部位は痛みによりあまり動かさなくなるため、筋肉が硬くなり、ぎっくり腰が再発してしまうため、血行を促進して筋肉の動きを良くしましょう。
6.軽いストレッチや運動
痛みが落ち着いたら、ゆっくりとした軽いストレッチや運動を行います。ただし、急な動きや強い負荷は避け、症状が再び悪化しないように注意が必要です。
6.ぎっくり腰の予防方法
ぎっくり腰にならないための予防方法を紹介します。
- 適切な姿勢の保持
- 腰部の筋力トレーニング
- 適度な運動とストレッチ
- 重い物を適切に持つ
- 日常生活の意識
- ストレスの管理
-適切な姿勢の保持
正しい姿勢を保つことは腰部の負担を軽減する上で重要です。座るときは椅子に深く腰掛けて背もたれを利用し、立つときは腰を丸めたり反りすぎたりしないようにする姿勢を心がけましょう。姿勢が悪いと腰が丸まり、悪い位置で筋肉が硬くなってしまうことで腰椎へ負荷がかかります。
-腰部の筋力トレーニング
腰部をサポートする筋肉の強化は予防に役立ちます。背筋や腹筋、大腰筋などを鍛えるために、適度な筋力トレーニングを定期的に行いましょう。筋力トレーニングをすることで適切な姿勢の保持につながります。
-適度な運動とストレッチ
日常的な運動やストレッチは腰部の柔軟性を維持し、血行を促進します。ウォーキングや水泳などの有酸素運動や、ヨガやピラティスなどのストレッチもおすすめです。
-重い物を適切に持つ
重い物を持つときは、腰から曲げずに膝を曲げて腰を落として姿勢を低くし、力を左右に均等に分散させるようにしましょう。また、できるだけ身体の近くに物を寄せて持つことも大切です。
-日常生活の意識
日常生活の中で腰に負担がかかる動作や姿勢を避けるように工夫しましょう。長時間の同じ姿勢での作業や、突然の激しい動きを控えることも予防に役立ちます。
-ストレスの管理
ストレスは筋肉の緊張を引き起こす要因となることがあります。ストレスを適切に管理し、リラックス法やストレス解消の方法を取り入れることも予防に役立ちます。
7.まとめ
ぎっくり腰の対処法、いかがだったでしょうか?
症状を早く治すには、安静にしてとにかく早くよく冷やすことと医師の診断を受けることが大切です。治ってからも再発を防ぐために、ストレッチや適度な運動、正しい姿勢や長時間同じ姿勢を続けないことを心がけていきましょう!
疲れが取れる!夜勤の睡眠のとり方
介護職や看護職などの夜勤で、集中力が続かない、疲れが取れない、体調が優れないことありませんか?
そんなときの対処法をお伝えします!
夜起きていることによる健康への影響
人間は本来、夜に眠る生き物です。
夜勤や夜更かしなどで昼夜逆転の生活になると、身体には次のように様々な異変が起きてきます。
- 睡眠の質の低下
- 体内時計の乱れ
- 疲労回復効果の低下
- 自律神経の乱れによる負の感情
- ストレスの解消機能の低下
- 月経周期の乱れ
このように身体に悪影響が出ることがあり、この状態が続くと循環器への負担による高血圧や心疾患、ホルモンバランスの乱れによる糖尿病やがんなどの長期的な影響も出てきます。
影響を少なくするための対処法
夜勤が体に悪いことだとしてもしなければならない...
でも少しでも影響を少なくしたい!
そんな時の対処法を3つお伝えします!
1.夜勤明けの寝だめは控える
いわゆる体内時計はサーカディアンリズム(概日リズム)と呼ばれ、それによると夜勤の時間帯(22時~翌6時頃)は体温が低下して最も眠気を感じやすく、作業効率が低下する時間帯になります。
逆に昼間は体温が高く、睡眠を取るのに不適切な時間帯。
15~30分程度の昼寝は作業効率アップのためにオススメですが、昼間の2時間以上の寝だめはサーカディアンリズムを崩してしまうので、自律神経の乱れや夜眠れなくなるなどの生活習慣の乱れにつながります。
<日本看護協会:夜勤中の仮眠のすすめ ~夜勤とうまくつきあうために>
2.夜勤中に仮眠をとる
睡眠を取るのに最適な時間帯である夜勤中に仮眠をとることは、疲労回復にオススメです。
夜勤前に3時間の睡眠を取った時の夜勤後の疲労感と、夜勤中に1時間の睡眠を取った時の夜勤後の疲労感は同じであるという研究結果が出ています。
つまり、夜勤中に1時間の仮眠をとると、夜勤前に3時間の仮眠をとるのと同等に夜勤後の疲労が抑えられ、夜勤前の日中の睡眠時間も短くなるということです!
また、「眠りに入るまでの時間」から「覚醒に向けた時間」までの睡眠サイクルは90~120分と言われているので、理想的な睡眠時間は2時間です。
そこまで長く仮眠を取れないという方は、10分程度の短時間の仮眠でも作業効率は上がるという研究結果も多く出ているため、積極的に仮眠を取るようにしましょう!
<斉藤 良夫, 佐々木 司:病院看護婦が日勤ー深夜勤の連続勤務時にとる仮眠の実態とその効果.産業衛生学雑誌 40巻3号(日本産業衛生学会) | 医学文献検索サービス メディカルオンライン (medicalonline.jp)67-74,(1998)より>
3.自分のタイプを知る
自分のタイプが「朝型」か「夜型」かを知ることも大切です。
朝型と夜型で、サーカディアンリズムの差が2時間以上あるためです。
朝型:体温が下がる時間帯は23時~7時
体温が最も下がるのは午前4時頃
夜型:体温が下がる時間帯は1時~9時
体温が最も下がるのは午前6時頃
夜勤中の仮眠をどの時間に取るとよく寝られるかが異なるので、自分のタイプを知っておくことが大切です。
Baehr EK, et al:Individual differences in the phase and amplitude of the human circadian temperature rhythm: with an emphasis on morningness-eveningness. J Sleep Res 9:117-127(2000)
まとめ
夜勤による悪影響に対処するため、夜勤明けの寝だめは控える、夜勤中に仮眠をとる、自分のタイプ(朝型か夜型か)を知るという3つの対処法をお伝えしてきました。
このように対処をしても、なかなか疲労が回復しない、体調が優れないということもあるでしょう。
しかしその原因は夜勤だけではないのかもしれません。
また、夜勤が得意な人と苦手な人がいるので、どうしても体調が優れない場合は夜勤の日数を減らすなどして休むことも考えてみてください。
今後も健康や身体に関する話題をお伝えしていきますので、どれかひとつでもみなさまの生活の支えになれれば幸いです。